「Web技術オーバービュー」と「Webアプリケーション実践入門/PHP編」の感想はこちらの記事に書いています。

「Webアプリケーション実践入門/Ruby編」は、RubyによるWebアプリケーションの構築方法を解説しています。Webアプリケーションフレームワークには、定番のRuby On Railsではなく、マイクロフレームワークのSinatraを使用しています。

PHP編とRuby編のいずれも、マイクロフレームワークを使用して簡単なCRUDのWebアプリケーションを作る実習になっています。この2編を両方やると、PHPとRubyそれぞれの感触がつかめると思います。

両方をやって感じたPHPとRubyの比較は以下のような感じです。

PHPの良いところ
*  環境構築が簡単。ピュアPHPなライブラリが多く、ネイティブ拡張も大抵はOSのパッケージマネージャーからインストールできる。

PHPの悪いところ
* レガシーな環境が残りがち(PHPそれ自体というよりは、外部要因)。

Rubyの良いところ
* エレガントな文法。かゆいところに手が届くクラス。
* ActiveRecordが非常に良い。

Rubyの悪いところ
* gemライブラリは依存関係が激しく、ビルドも失敗しやすい。動かすまでの環境構築が大変。

また、文法については、Rubyは結構自由度が高いのに対して、PHPはあまり融通が効きません。この点、PHPは初心者にやさしく、Rubyは上級者ほどたのしく書ける言語といえるでしょう。


「サーバ環境の作り方」「サービス運用の基礎知識」については、あっさりめですが、Webアプリ制作の初心者が見落としがちな部分でもあるので、結構ためになります。


『Webアプリケーションエンジニア養成読本』全体としては、良い本だと思います。さらに学びを深めるための推薦書籍/WebサイトのリストがあるのもGood。第2章の「Webアプリケーション実践入門」ではレイアウトが見づらく実習を進めるにはストレスが溜まる、という難点がありますが、対象読者に当てはまる人なら、買って損はしません。