最近PHPを少しずつやっているのですが、その際にどこかの記事で「GREEの藤本氏はPHPの神」というフレーズを見ました。他にも、優秀なPHPプログラマーの例として藤本氏を挙げている人もいたり。ということで、GREE CTOの藤本真樹氏とPHPの関わりについて調べてみました。


結論として、藤本氏はPHP言語の開発者の1人ではあるけれど(すなわち、PHPの創造主=神 のうちの1人)、PHPを使いこなしてすごいプログラムを書いてる人、と言えるのかはよく分かりません。

もちろん、藤本氏はすごいプログラマーです。文学部出身でプログラムは独学で、一線級の技術力を身につけているのは、素直に尊敬します。

ただ、GREEのシステムのコードのどの程度がPHPで書かれていて、その内のどの程度が藤本氏の手になるものなのか分からない以上、「藤本氏のPHPプログラミング能力は未知数(相当に高いのは確か)」としか言いようがありません。


実際、まつもとゆきひろ氏との対談には、「たしかにPHPメンテナーではありましたが、実はあまりPHPではプログラムを書いていなかったんですよ。」という発言があります(「(以前の会社では)書いていなかった」なので、GREE入社後にはPHPも書いているんだと思いますが)。


ちなみに、この対談には興味深い問答があります。

──エンジニア採用でも、これからはRubyの使用経験を重視しますか?

藤本 Rubyの経験というのは直接の判定基準ではないんですが、「一つの言語しかできません」という場合よりは面白いのでは、と思います。複数の言語に精通というか、チャレンジしているのは一つの評価軸かもしれませんね。

「複数の言語の使用経験があることが採用時に評価される」という点はもちろんですが、それ以上に個人的に注目したのが「面白い」という言葉。新人を採用するときに「この人は面白いか、面白くないか」という基準で見てるんですね。

こういう文脈では、「複数言語の経験がある方が生産性が高い」という方向に持っていく(実際、この記事の見出しはそうなっている)のが普通ですが、実際の評価軸は「生産性」よりもむしろ「面白さ」にある、と。


他にも、藤本氏関連の記事は色々読んでみましたが、出自が近い私には、非常に参考になりました。

1つは、情報工学について。大学の情報系学部で教わる情報工学は、知識・ツールとして強力ではあるものの、必要不可欠なスキルというわけではない、とのこと。

2つ目は大学の位置づけで、「大学は職業訓練校ではない」と。もちろん、医学系のように、大学での職業訓練を経ないとその職に就けない分野はあります。が、少なくともweb開発の世界では、畑違いの出身者でも、十分な好奇心と意欲があればやっていけるということです。

また、webの仕事をする上で数学が必要になる場面は限られてくるのですが、大規模なWeb開発では統計の知識が必要になるというのも重要なヒントだと思います。


というわけで、「PHPプログラマーのスゴイ人」の代表例として藤本氏を挙げるのはズレている気もするのですが(藤本氏は「PHP書くスゴ腕プログラマー」である。「PHPしか書けないプログラマー」ではない)、藤本氏がスゴイ人であることは十分に理解できました。